韓国ドラマ『D.P.-脱走兵追跡官-』レビュー|「正義」がいちばん無力に見える場所

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「大韓民国の男子は法の定めるところにより
兵役の義務を遂行しなければならない」

この条文から始まる物語は、フィクションの顔をしていません。
観終わったときの重みは、社会派映画を一本観たあとのようでした。

後半は、本当にきつい。
重くて、辛くて、苦しくて。

けれど目を逸らせない。
なぜなら、これは“作られた地獄”ではなく、

現実に存在している制度の中の物語だからです。

 

 

  • 社会問題を真正面から描く作品が好きな人
  • 軽い娯楽では物足りない人
  • 心に残る重みを求める人

 

総合評価 (5点満点)

4.5 / 5.0

  • ストーリー構成:★★★★☆
  • 心理描写・脚本:★★★★★
  • 演出・空気感:★★★★☆
  • エンタメ性:★★★☆☆
  • 余韻・考察性:★★★★★
目次

作品情報

・配信:Netflix
・配信日:2021年8月27日
・エピソード:全6話
・ジャンル:ヒューマンドラマ
・監督:ハン・ジュニ
・脚本:キム・ボトン、ハン・ジュニ
・出演:チョン・ヘイン、ク・ギョファン

原作は実話ベースのウェブトゥーン。
韓国の兵役制度という現実の中で起きている問題を真正面から描いています。

あらすじ

平凡で目立たない青年アン・ジュノ(チョン・ヘイン)は、韓国の兵役制度により軍へ入隊します。

そこで彼が配属されたのは「D.P.(Deserter Pursuit)」
脱走兵を追跡し連れ戻す特殊任務。

バディを組むのは、軽妙でつかみどころのない先輩ハン・ホヨル(ク・ギョファン)。

二人は軍の外へ出て、様々な理由で脱走した兵士たちを追います。
しかし、彼らが目にするのは単なる“逃亡者”ではありません。

壮絶ないじめ。
日常化した暴力。
人格を削る言葉。
上下関係という名の支配。

なぜ彼らは逃げたのか。
本当に悪いのは誰なのか。

追う側のジュノは、
次第に軍という巨大な構造の歪みに気づいていきます。。

感想

このドラマが重く響く理由

「2年」という兵役期間。長いようで、短い。

何かを変えるには短すぎる。
でも、壊れるには十分すぎる時間。

何かするには短くて、自分は自分を守りたい。

閉鎖された世界。
逃げ場のない空間。
助けを求めれば、次は自分が標的になるかもしれない。

だから人は、傍観者になる。

このドラマが怖いのは、「怪物」を描いているわけではないからです。
普通の人間が、環境の中で少しずつ残酷になっていく。

そして気づいたときには、誰も止められなくなっている。

観ていて苦しくなる瞬間

後半は、正直かなり重いです。
暴力シーンがあるからではありません。

理不尽が“日常”として描かれるから苦しい。
いじめられるために兵役に行くのかと思ってしまうほどの現実。

「どうしてこうなる?」
「どうしても、こうなるの?」

その問いに、ドラマは簡単な答えを出しません。
だからこそ、観る側に突き刺さります。

権力の正体

印象的だったのは、
軍で威張っていた人物が、除隊後にはコンビニ店員として働いている姿。

あの世界では絶対的な強者。
外に出れば、ただの市民。

あまりにもリアルでした。

閉鎖空間が生み出す歪んだヒエラルキー。
環境が人を変えるという事実。

偉そうだった人間が、場所を失えば何者でもなくなる。
あの描写は、この作品の核心だったと思います。

6話という“映画体験”

この作品は、6話構成。
けれどテンポは引き延ばしがなく、一話一話が映画のように濃い。

観終わったあと、「ドラマを観た」というより「社会を見せられた」という感覚に近い。
エンディング後も救いは与えられません。

最後まで、辛い。

でも、それでいいのだと思います。

現実は、簡単に救われないから。

演技の説得力

チョン・ヘインは、これまでの優しいイメージを覆す静かな怒りを演じました。
感情を爆発させるのではなく、内側に溜め込む演技。
目の奥に宿る無力感が痛いほど伝わります。

一方、ク・ギョファンの存在は、この作品の“呼吸”でした。

軽やかさの裏にある影。笑っているのに、どこか寂しい。

二人のバランスがなければ、この作品は重すぎて観られなかったかもしれません。

まとめ|逃げたのは、誰?

脱走兵を追う物語。

でも本当は、逃げ続けている社会を描いているのかもしれません。

傍観することは、生き延びるための選択。
けれど、その選択の先で、誰かが壊れていく。

エンディングが流れたあとも、胸の奥がざわついたまま。
6話を観たはずなのに、一本の重い映画を観終えたような感覚が残る。

そして問いだけが、静かに残ります。

どうしてこうなるのか。
どうしても、こうなるのか。

 

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bee.
ブログ運営者
韓国ドラマ・韓国映画を中心にレビュー。
サスペンス、人間ドラマ、余韻の強い作品が好き。
日常的に韓ドラ・韓国映画を視聴中。

“なぜこの作品が刺さるのか”を言語化したくてブログを続けています。

一気見して眠れなくなった夜。
観終わったあともしばらく感情を引きずる作品。
そんな“余韻が残るドラマ”を中心にレビュー。

ネタバレはできるだけ避けつつ、
空気感、演出、感情の温度まで伝わるレビューを目指しています。
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