映画『怪物』レビュー|怪物は、いったい誰だったのか

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それは、誰かを悪者にしてしまいたくなる出来事でした。

最初は、ただの行き違いだと思っていました。

けれど、視点が変わるたびに、胸の奥で何かが静かに崩れていきます。
『怪物』は、派手な答えを差し出す映画ではありません。
その代わりに、観る側の心に長く留まり、あとから何度も思い返させる力を持った作品です。

 

 

  • 観終わったあと、しばらく余韻に浸っていたくなる映画が好きな方
  • 人の「正しさ」や「思い込み」がすれ違っていく物語に惹かれる方
  • 子どもと大人のあいだにある、言葉にならない感情を丁寧に描いた作品を観たい方

 

総合評価 (5点満点)

4.0 / 5.0

  • 物語:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 余韻:★★★★★
  • 観やすさ:★★★☆☆
目次

作品情報

・上映日2023年6月2日
・監督:是枝裕和
・脚本:坂元裕二
・音楽:坂本龍一
・ジャンル:ヒューマンドラマ
・上映時間:126分

この作品は、こちらで視聴できます。

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あらすじ

ある町で起きた、ほんの些細に見える出来事から物語は始まります。

シングルマザーの早織は、息子・湊の様子に違和感を覚えます。言動が荒れ、感情の起伏が激しくなっているように見えるのです。学校で何があったのかを尋ねても、湊は多くを語ろうとしません。ただ、担任教師・保利に対して、強い拒否反応だけを示します。

不安を抱えた早織は学校に訴え出ますが、教師側の説明はどこか噛み合いません。問題は起きていない、誤解ではないか。そうした言葉が重ねられるほど、母親の不信感は募っていきます。

やがて物語は、母親の視点から教師の視点へ、そして子どもたちの視点へと移り変わっていきます。同じ出来事であるはずなのに、立場や年齢、置かれた状況によって、見えている景色はまったく違っていました。その差異が、少しずつ浮かび上がっていきます。

感想

「怪物」は誰だったのか

この映画は、観ているあいだずっと問いを投げかけてくる。
怪物は、感情的になった母なのか。
無自覚に傷つける教師なのか。
それとも、残酷な言葉を投げる子どもたちなのか。

けれど視点が切り替わるたびに、確信は揺らぐ。誰もが自分なりの正しさを信じて行動しています。その正しさが、別の誰かを傷つけていることに、気づかないまま。

視点が変わると、世界は変わる

『怪物』の大きな特徴は、同じ出来事を複数の視点から描いている点です。

大人の目には問題行動に見えることも、子どもにとっては必死のSOSである場合があります。説明されなかった沈黙や、聞き取られなかった声が、あとになって胸に迫ってきます。

一度抱いた印象が、簡単に覆されていく感覚は心地よいものではありません。しかし、その居心地の悪さこそが、この映画の誠実さなのだと思います。

言葉にならない感情を、音と沈黙で描く

坂本龍一の音楽は、主張しすぎない。けれど、ふとした瞬間に流れる旋律が、登場人物の心情をそっとすくい上げます。

また、説明を省いた演出が多いからこそ、観る側は自分の記憶や感情を重ね合わせてしまいます。語られない部分が多い分、映画はより個人的な体験へと変わっていきます。

この映画が残すもの

『怪物』は、答えを教えてくれない。
ただ、「あなたが信じている正しさは、本当に誰も傷つけていないか」と、静かに問い続けます。その問いは、観終わったあとも簡単には消えてくれません。

観終わったあと、誰かの言葉や態度を、少しだけ違う角度から見てみたくなる。そんな小さな変化を、そっと残していく映画です。

まとめ

派手な展開も、大きな救いもない。 それでも、この映画は確かに心に残ります。

怪物は、特別な存在じゃない。 怪物は、隣にいる。

この作品は、こちらで視聴できます。

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bee.
ブログ運営者
韓国ドラマ・韓国映画を中心にレビュー。
サスペンス、人間ドラマ、余韻の強い作品が好き。
日常的に韓ドラ・韓国映画を視聴中。

“なぜこの作品が刺さるのか”を言語化したくてブログを続けています。

一気見して眠れなくなった夜。
観終わったあともしばらく感情を引きずる作品。
そんな“余韻が残るドラマ”を中心にレビュー。

ネタバレはできるだけ避けつつ、
空気感、演出、感情の温度まで伝わるレビューを目指しています。

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