わかったと思った瞬間に、またわからなくなる。
犯人を追っていたはずなのに、
いつの間にか疑っているのは、
目の前にいる人物だけではなくなっていました。
韓国ドラマ『マウス~ある殺人者の系譜~』は、
サイコパス遺伝子という衝撃的な設定から始まるクライムサスペンス。
以前一度観ていたものの、6話で止まったまま。
内容も忘れてしまったため1話から再視聴したら、今度は序盤からグイグイ引き込まれました。
展開が変わる。
また変わる。
ようやく理解したと思ったところで、それまで見ていたものの意味まで変わっていく。
正直、混乱して大変でした。
それでも先が知りたい。その力が最後まで途切れないドラマでした。
どんな人におすすめ?
- どんな人に向いてる?
-
- 二転三転するサスペンスが好き
- 犯人を予想しながら観るのが好き
- 伏線が張り巡らされた作品に惹かれる
- 「次の1話」が気になって止まらない韓ドラを探している
- 重く残酷なクライムサスペンスも観られる
- 集中して物語に入り込みたい
単純な犯人当てでは終わりません。
事件を追いながら、人間の善悪そのものへ踏み込んでいく。
先が読めないだけでなく、それまで信じていたものまで疑わされるサスペンスが好きな人に向いています。
- 逆に、向いていない人は?
-
登場人物や事件が多く、情報量もかなりあります。
気軽な「ながら見」には、あまり向いていません。
残酷な事件や殺人描写もあり、扱われるテーマも重め。
複雑な伏線を追う作品より、シンプルに進むサスペンスが好きな人には疲れてしまうかもしれません。
こんな日に観てほしい
頭を使わずに観られるドラマではなく、物語に振り回されたい夜に。
予想して、外されて。
また考えて、ひっくり返される。
それでも懲りずに次の展開を追いかけたくなる。
「今日はちゃんとドラマを観る」と決めて、画面から目を離さず没頭したい日に選びたい作品です。
作品情報
・配信日:2022年5月11日
・エピソード:全20話
・ジャンル:クライム/サスペンス/ミステリー
・演出: チェ・ジュンベ
・脚本:チェ・ラン
・出演:イ・スンギ、イ・ヒジュン、パク・ジュヒョン、キョン・スジン、アン・ジェウク、ほか
あらすじ
韓国全土を震撼させた「ヘッドハンター殺人事件」。
被害者を殺害したあと、頭部だけを持ち去るという残酷な犯行を繰り返していた犯人は、
奇跡的に生き残った少年コ・ムチの証言によって逮捕されます。
犯人は、天才医師ハン・ソジュン。
同じ頃、韓国では胎児の段階でサイコパス遺伝子を判別し、
該当する胎児を堕胎させる法案が議論されていました。
それから25年。
ソジュンに両親を殺されたムチは刑事となり、連続殺人事件を追い続けています。
そんな彼の前に現れたのが、正義感が強く心優しい巡警チョン・バルム。
再び韓国を震撼させる連続殺人鬼が現れ、ムチとバルムは事件を追い始めます。
そして同時に浮かび上がる、25年前に検査された「サイコパス遺伝子を持つ子ども」の存在。
殺人者は生まれつきなのか。
それとも――。
過去と現在が複雑につながりながら、事件は予想できない方向へ動き始めます。
『マウス~ある殺人者の系譜~』は、どこで観られる?
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感想
最初に突きつけられる「生まれる前にわかったら?」

物語の始まりから、かなり重い。
もし、生まれてくる子どもがサイコパス遺伝子を持っているとわかったら。
その命をどうするのか。
そこに「ヘッドハンター」と呼ばれる凶悪な連続殺人鬼の存在が重なります。
この段階では、サイコパス遺伝子という設定が物語を動かすための大きな謎に見えていました。
そして25年後。
ヘッドハンターによって家族を奪われたムチと、
正義感の強い巡警バルムが、
新たに現れた連続殺人鬼を追い始めます。
ここからは完全に犯人探し。
誰がプレデターなのか。
25年前に生まれた子どもは誰なのか。
点だったものが少しずつつながり始め、序盤からどんどん先へ連れていかれました。
バルムとムチ。同じ事件を追っていても、立っている場所が違う

イ・スンギ演じるチョン・バルムは、人を助けることに迷いがない真面目な巡警。
対するコ・ムチは、幼い頃にヘッドハンターによって両親を殺されています。
刑事として犯人を追っているけれど、その奥にあるのは正義だけではありません。
憎しみも、怒りも、消えない過去もある。
この二人が同じ事件を追いかけていくところが面白い。
まっすぐなバルムと、すでに傷だらけのムチ。
特にムチを見ていると、事件が解決すればすべて終わるとは思えません。
犯人を捕まえた先に何が残るのか。
序盤では「誰が犯人なのか」に向いていた視線が、少しずつ登場人物そのものへ向かっていきました。
犯人を予想していたはずが、物語そのものを疑い始める

『マウス』を観ていて大きく感覚が変わったのはここでした。
最初は、出てくる人物を見ながら犯人を予想する。
怪しい。
いや、違うかもしれない。
こっちなのか。
サスペンスではよくある楽しみ方です。
でも物語が進むにつれて、それだけでは追いつかなくなっていきます。
ひとつ何かが明らかになるたびに、新しい謎が増える。
さらに厄介なのが、新しい事実によって、それまで観てきた場面の意味まで変わってしまうこと。
「あの場面は、そういうことだった?」
「あの人を、最初から見間違えていた?」
答えが出てスッキリするどころか、答えが出たことでまた考え始める。
このあたりから、かなり混乱しました。
でも、面白さが落ちない。
むしろ「じゃあ本当はどういうこと?」が強くなっていきました。
「誰が殺したのか」から「なぜ怪物になったのか」へ

さらに物語が進むと、最初に追いかけていたものから少しずつ焦点が変わっていきます。
誰が殺人鬼なのか。
その答えだけでは足りなくなる。
なぜそうなったのか。
人は生まれたときから怪物なのか。
それとも、生きていく中で怪物になるのか。
そこで、序盤に提示されていた「サイコパス遺伝子」の話がもう一度違って見えてきます。
最初は犯人へつながるヒントのように見えていた設定。
でも、物語を追うほど、それだけでは片づけられない。
遺伝子によって人間を決めること。
生まれる前から、その人の未来まで決めてしまうこと。
『マウス』は連続殺人事件を追いながら、
いつの間にかもっと答えの出ない場所へ入っていきます。
ここまで来ると、単純な犯人当てとして観ていた序盤とは、作品の印象そのものが変わっていました。
わかったと思うたびに、また足元を崩される

そして、とにかく展開が変わる。
変わる。
また変わる。
ようやく人物関係や出来事を整理して、「なるほど」と思ったところで別の事実が出てくる。
そのたびに頭の中で組み直すことになります。正直、大変でした。
「今、何がどうなってる?」
何度そうなったかわかりません。
全部をきれいに拾いながら観られたわけでもありません。
ちゃんと理解できていたら、もっと面白かったと思います。
でも不思議なのは、混乱しても気持ちが離れなかったこと。
普通なら、複雑すぎると少し疲れてしまう。
『マウス』は、わからなくなるほど先が気になりました。
置いていかれそうなのに、置いていかれたくない。
だからまた次を観る。この引力はかなり強かったです。
一度6話で止まった作品が、今回は止まらなかった

以前観たときは6話で止まっていました。
そのまま時間が経って内容も忘れてしまい、今回は1話から再視聴。
同じ作品なのに、今度はグイグイ引き込まれました。
何が違ったのかは、はっきりわかりません。
ただ今回は、序盤に散らばっているものがこの先どうつながるのか、それがずっと気になった。
そして進めば進むほど、最初に見ていた景色とは違うものが見えてくる。
一度止まった作品だからこそ、余計にこの変化が面白く感じました。
最後まで追うと、最初の問いに戻りたくなる
観始めたときは、連続殺人鬼を追うクライムサスペンスとして観ていました。
犯人は誰なのか。
サイコパス遺伝子を持って生まれたのは誰なのか。
そこが気になっていた。
でも最後まで追っていくと、残るのは犯人当ての答えだけではありません。
人間の善悪は、生まれた瞬間に決まっているのか。
ひとつの遺伝子で、その人のすべてを判断できるのか。
「怪物」と呼ばれる人間を、どこから怪物として見るのか。
物語の最初に置かれていた問いが、いろいろな出来事を見たあとではまったく同じには見えません。
何度も展開をひっくり返すドラマだけれど、本当にひっくり返されたのは、犯人の予想だけではなかったのかもしれません。
観終わったあとに残ったもの
「あれは、そういうことだったのか」
観終わったあと、頭の中でもう一度物語をたどりたくなる。
きれいに理解できたという感覚より、散らばったものを拾い直したくなる感覚の方が強く残りました。
そして思う。
もう一度観たら、きっと見え方が違う。
初見では何でもなかった表情。
聞き流していた言葉。
気づかず通り過ぎた場面。
答えを知ってからなら、きっと違って見えるものがたくさんあります。
一度では拾いきれないものが、まだたくさん残っている気がします。
『マウス~ある殺人者の系譜~』が刺さったなら、次はこれ
『リセット~運命をさかのぼる1年~』
先の読めなさに振り回される感覚が刺さったなら。
次々と状況が変わり、誰を信じればいいのかわからなくなる。「次が気になる」が続くサスペンスです。
『カイロス~運命を変える1分~』
時間と運命が複雑に絡み合う緊張感をもう少し味わいたいなら。
過去と現在をつなぎながら運命を変えようとする物語で、ひとつ状況が動くたびに次の問題が迫ってきます。
『怪物』
もっと静かに、人物を疑い続けるサスペンスへ行くなら。
派手などんでん返しだけではなく、人物の表情や言葉まで疑いながら真相を追っていく作品。
同じ「先が読めない」でも、それぞれ違う方向から翻弄してくれます。

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